KMDW

Kobayashi Maki Design Workshop

Wood Tower Prototype

不燃技術による木造建築の新たな可能性

近年、地球規模の環境問題を考えるに当たり、CO2削減のための森林 の質とその向上が問われている。我が国は国土の7割弱を森林で覆わ れているものの、それらが有効に活用されていないのが現状である。林 業の衰退、木造家屋に伴う木の文化の衰退が著しい。このような中で、 燃えにくい木が開発される。これを契機に、これらの問題を解決する糸 口が見つかった。

従来の木造建築の弱点は、燃えるというところにあった。ひとたび火災 が起きると煙が発生し、その有毒ガスによって人の命が奪われてしまう こと。また、延焼によって燃え広がり、被害が大きくなってしまうというと いうことが問題とされてきた。しかし一方で、木の建築が持つ居住性の 高さや空気の調整機能、施工の容易さを考えると、これからの木を用い た新たな建築の可能性を探ることは大変有意義なことであると考える。

また、木材を用いた新たな建築材料の開発も進み、ベニアの開発技術 が発展したことにより、均質で変形の少ない木質建材であるLVL、ベニ ア合板(エンジニアウッド)が普及し、自然木の弱点であった個体差が 問題とならない木材が入手可能になったのも、木質建築の可能性を広 げている。

本プロジェクトでは、木の不燃技術が、国交省の定める二時間耐火の大 臣特認を得られることを想定し、建築基準法に準じた木造建築物の可 能性を検討する。

まず、構造体としてのLVLの利用により、最大14階までの木造建築物を 想定する。LVLの無垢のパネルを構造壁とした壁構造を主構造とする。 パネル同士のジョイントも木組みの工法による接続を積極的に用いる ことにより、金属に依存した既往のパネル工法を越えた新しい手法の 開発を目指す。

さらに、木造の高層建築物は、日本の伝統建築である五重塔が示すよう に、その柔軟さや軽量性により、地震力を軽減し得る。そこで、伝統的な 木の建築の知恵と新たな建築技術を用いた、新しい木造建築物の創造 を目指す。

最後に、木が呼吸することによる空気調整機能を活かしたインテリアへ の木材パネルの応用のみならず、LVLを用いた建築は、構造材・仕上げ 材・断熱材を兼ねているため、通常多くの工種を必要とする鉄骨造の建 築に比べ、時間とコストの短縮につながるというメリットも持つ。

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